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Web連載 かとちえの短歌教室 【連載終了】
第6回目 かとちえの短歌教室 テーマは“空”


<ご挨拶>
こんにちは、加藤千恵です。
わたし自身のブログや出演するラジオ番組などでもご報告させていただいたので、
もうご存知の方もいらっしゃるかとは思うのですが、
先日、入籍いたしました。
人妻としての色気を出していくとともに(しかし具体的にとるべき方法がわからない)、
人妻短歌、精進していければと思います。
それでは、短歌を作る上でのワンポイントにうつります。

<予想外の着地点>
最初に、2つのわたしの短歌を例に出します。
(1)思いきり悲しむこともできなくて中途半端に傷ついている
※『ゆるいカーブ』(スリーエーネットワーク)収録短歌
(2)嘘ついたことなんてない いつだって本気で好きだ そのときだけは
※『たぶん絶対』(マーブルトロン)収録短歌
1つ目の短歌は、途中で曲がることなく、最初から最後までまっすぐに落ちてくる感じ。
2つめの短歌は、まっすぐに落ちてくると思ったのに、最後でずれて落ちた感じ。
意識的にも無意識的にも、読者は「流れ」を予想しているものだと思います。
たとえば小説で、
「花子さんは幸せでした。ところが」と書かれていたら、
ああこの後に花子さんには不幸が訪れるのだ、と思いつつ読み進めるだろうし、
「花子さんは幸せでした。そのうえ」と書かれていたら、
待っているのは、さらにすごい幸せだと思いつつ読み進めるだろうし。
短歌は31文字と、他の文芸作品に比べても短いため、
なかなか「予想を裏切った着地点」というのは見つけにくいです。
論理が破綻して、支離滅裂になってしまっては意味がないですし。
もちろん、予想を裏切る短歌>予想通りの短歌、ということではなく、
予想を裏切る短歌ばかりを詠むべきとは思っていないです。
ただ、予想外の着地点を探してみるというのも、
なかなかおもしろい作業だとは思います。
モテるのにもギャップ(イメージと実際とのずれ)がポイントになったりするらしいので、
ぜひ短歌でも、予想を裏切ってみることに挑戦してみてください。




<今月の作品>

 ~第6回テーマ「空」~
それでは、今回気になった作品を紹介します。
( )内が投稿者のお名前(ペンネーム)です。

今回のテーマ「空」は、前回「涙」に続き、
過去最高の投稿数でした! 嬉しい……ありがとうございます。
というわけで、選ばれるための倍率も上がってしまっているわけですが、
今回選ばれていなくても、そこで終えずにどんどん投稿してくださいね。
よろしくお願いします!



手を腰に当てて牛乳ラッパ飲みして見た空は青く正しい(ラブタイタイ)
 
 気持ちのいい情景ですね。青春っぽい!
 ただ、気になるのが、「手を」となっているのに、
 「牛乳を」とはなっていない点です。
 助詞をどこかでは使い、どこかでは使わない、という書き方だと、
 あくまでも音数合わせのように思えてしまい、ちょっと不自然です。



 
あなたとのキスの途中に見る空が青くないのはどうしてだろう(トヨタエリ)

 うまくまとまっていますが、印象が薄いのが気になります。
 もう少し2人の具体性や、あるいはアイテム(小道具)を出すことで、
 独創性やイメージの喚起につながっていくと思います。




きみのいう“空”はいつでも青空で “女”といえばわたしではない(岡本雅哉)

 空と女の対比、出し方におもしろさを感じました。
 切ない内容ですが、どこかしらユーモアも含んでいて、
 じんわりとくる歌だと思います。
 惜しいのは、空「は」、女「といえば」、が統一されていないところでしょうか。




空港は3回行った そのうちの2回は泣いた 若かったから (mama*)

 mama*さん、もうすっかり常連となっていますね。
 いつも投稿ありがとうございます。
 ストレートに空を詠んだ歌が多かったので、
 ちょっと変化球的な「空」の使い方にも目を惹かれました。




「東京に住みたい」あなたは答えない フロントガラス越しの星空(ゴニオ)

 特殊な言い回しなどは使われていないですが、
 ドラマ性も非常に高く、優れた作品だと思いました。
 映画やドラマの1シーンを連想させます。



 
空々しい君の嘘を見過ごしたことをお願い、気付かないでね(miho)

 嘘を見過ごした、という内容は決して特殊なものではないですが、
 嘘をついた側ではなく、嘘を見過ごした側が、
 気付かないでと主張するところに、おもしろさを感じました。
 ただ、リズム・漢字表記のバランスなどに推敲の余地があるかと思います。




空白の日記は何もなかった日じゃなく書けないことがあった日 (さっこ)

 細かい指摘となってしまいますが、
 「日記は~な日」という言い回しには、少し違和感を覚えました。
 厳密に言うのであれば、「日記で空白の日は~な日」というのが正しいかなと。
 ただそのままの言い方では、リズム的に崩れてしまいますので、
 もっといい言い方を探していただければと思います。




いいんだよソラユメだって しあわせな朝だったからもういいんだよ (キタパラアサメ)

 今回の冒頭で述べた、着地点という観点から見ると、
 予想を裏切らない、まとまりのある歌だと思います。
 リフレインも効果的ですが、
 リフレインを使った作品というのは、実はとても多いので、
 少し意識的に使う必要がありそうです。


<今月のかとちえ賞>
選ばせていただいたのは、この作品です。

「東京に住みたい」あなたは答えない フロントガラス越しの星空

ゴニオさん、おめでとうございます!!
今後の投稿も、楽しみにお待ちしています。


今月のかとちえ短歌
まるで新妻らしからぬ短歌になってしまいました。
人妻歌人への道は遠い。

君はもう架空の人だ 悲しいけど前よりずっとラクになれるね
(加藤千恵)


<次のテーマ>

今日からは、「楽器」というテーマで短歌を募集します!
楽器という言葉そのものを使っている歌、
ピアノ・トランペット・テルミンなど、特定の楽器がテーマとなっている歌など、
楽器をイメージさせるものであればなんでも。
以下、募集要項です。

8月10日締め切りで、一人2首以内、テーマ記載の上、
ペンネームがある場合はペンネームも添えて。
→送り先:tanka_57577@3anet.co.jp(第二出版部かとちえ短歌教室係まで。アドレスの「@」を半角に修正してお送りください)

どうぞよろしくお願いします!