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Web連載 かとちえの短歌教室 【連載終了】
第7回目 かとちえの短歌教室 テーマは“飲み物”


<ご挨拶>
こんにちは、加藤千恵です。
暑いですね。暑いですね。リフレインしてしまうくらいですよね。
夏はずっと苦手だったのですが(なぜなら暑いから!)、
どうやら夏になるとはしゃいでいる自分に、最近気づきました。
全然好きじゃないと思えていた同じクラスの男子のことを、
目で追っている自分に気づいたときのように、
ちょっと複雑な気持ちでいます。
わかりにくい例えになっていたらすみません。
それはともかく、短歌の話です。

<推敲すべきか否か>
短歌に関して取材を受けた際や、
実際に短歌を作られている方から多く出る質問として、
「短歌は推敲する必要がありますか?」というものがあります。
わたし自身に関して言うなら、推敲は、全然しません。
もちろん全くしないということはないのですが、
推敲すればするほど、
どの形がいいのかわからなくなってしまうため、
わりと、直感や、最初に頭に浮かんだ形を尊重するようにしています。
ただ、これはあくまでわたし自身に限ってのことなので、
「推敲はしないほうがいいんだ!」ということではありません。
結局のところ、個人的な性質によるところが大きいので、
推敲していく上で、いい形を見つける人も、もちろんたくさんいるはずです。
大学時代の先生が、
「レポートを書き上げるというのは、あきらめることでもある。
書けば書くほど、書きたいことは増えていくし、
直したい部分も多く生まれてくる。
どこかで妥協したり、あきらめない限り、完成することはない」
と言っていて、非常に納得したのですが、
短歌に関しても、同じことだと思います。
あと、推敲のしすぎで、何がいいのかわからなくなってきた、という時は、
(上でも触れた通り、これはわたしがおちいりがちなパターンなのですが)
少しその歌から離れてみることをおすすめします。
他の歌に触れたり、時間が経ったりすることで、
新たな視点が見つかることもあると思いますので。


<今月の作品>

 ~第7回テーマ「飲み物」~
それでは、今回気になった作品を紹介します。
( )内が投稿者のお名前(ペンネーム)です。

飲み干す、というフレーズと、
あとは炭酸系の飲み物が出てくるものが多かったです。
歌にしやすいのかもしれないですね。
(実際わたしの作品にも、ジンジャーエールをテーマにした歌などがあります)


さよならを聞きたくなくて飲み干したジンジャエールが目にしみている(パイ投げ)

 泣き出しそうという言葉を使わずに、
 感情を描いているところは、素晴らしいです。
 ただ、使っている言葉や、テーマなどが、
 ありふれたものになってしまっているのが否めません。




口だけの「愛してるよ」を聞くために20本目のチューハイを飲む (トヨタエリ)

  「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの(俵万智)
 【河出書房新社『サラダ記念日』収録】
 の本歌取りだと思われますが、
 20本というのは、多すぎて、リアリティーに欠けてしまうのではないでしょうか。
 あるいは、もっと多くして、ユーモアを含ませるのもありだと思うのですが。




飲み干した炭酸が胃で暴れても走るよ夏のド真ん中まで(綾波百)

 炭酸と夏って似合いますよね。
 うまくまとまった一首だと思います。
 ただ、テーマには、青っぽさが含まれる一方、
 表記は漢字が多くて、固いです。
 内容と字面が、ちょっとアンバランスに思えてしまいました。




羊水を飲み干すように僕達はコーラを飲んだ青春だった (小埜マコト)

 羊水とコーラという取り合わせが、非常におもしろかったです。
 コーラと青春も、ピッタリだし。
 けれど、羊水は、飲むもので、飲み干すものではないですよね。
 そのあたりが、字数合わせのように思えてしまい、
 ちょっと気になりました。




朝練が終わるとともに いっせいに 蛇口が上を向いている夏 (赤尾プル子)

 情景がすんなり浮かぶ一首ですね。
 気になったのは、一字アケの部分でしょうか。
 いっせいに、を目立たせようという意図があったのかもしれませんが、
 あまりその必要性が感じられませんでした。
 また、情景を描いただけではなく、
 もうひとひねり、作者なりの視点があるとよかったと思います。




ストローで混ぜればガシャシャンさよならと言ってるようなアイスコーヒー (凛鈴)

 氷とグラスがぶつかる音(だと思うんですが、違ったらごめんなさい)を、
 ガシャシャン、と表したのはおもしろいと思います。
 普通、カシャン、とか、カチャリ、ですよね。ガチャ、とか。
 ただ、おもしろいと思った一方で、
 氷の擬音としては、激しすぎて、ちょっと不適切な気もします。




振り向いた途端にいやがらせのキス 路上にはじけたぬるいサイダー (伊藤真也)

 いやがらせのキス、というフレーズが、
 関係性やシチュエーションなど、
 想像の広がりを持たせていると思います。
 気だるくて暑い空気まで伝わってくるようです。




会社には笑顔で行こうシャンパンを満員電車でぶちまけよう (さかいたつろう)

 おもしろく読んだ一首です。
 終盤になるにつれて、リズムの良さが失われたのがちょっと残念です。
 このままの設定を生かして、
 連作などにしてもおもしろい気がします。



<今月のかとちえ賞>
選ばせていただいたのは、この作品です。

振り向いた途端にいやがらせのキス 路上にはじけたぬるいサイダー

伊藤真也さん、おめでとうございます!!
いろいろと想像してしまう一首でした。
今後の投稿も、楽しみにお待ちしています。


今月のかとちえ短歌
相変わらず、人妻短歌はできません。

帰らなきゃいけないようだ コーヒーのお代わりを君が断っている
(加藤千恵)


<次のテーマ>

新しい募集テーマは、「友」です!
言葉をそのまま変化させて使うのが作りやすいかなという気がしますが、
(友人、親友、など)
もちろん、友という字を使っていなくても、
テーマを連想させるような歌に仕上がっていればOKです。
以下、募集要項です。

9月10日締め切りで、一人2首以内、テーマ記載の上、
ペンネームがある場合はペンネームも添えて。
→送り先:tanka_57577@3anet.co.jp(第二出版部かとちえ短歌教室係まで。アドレスの「@」を半角に修正してお送りください)

どうぞよろしくお願いします!