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Web連載 かとちえの短歌教室 【連載終了】
第8回目 かとちえの短歌教室 テーマは“楽器”


<ご挨拶>
こんにちは、加藤千恵です。
相変わらず暑いですね!
といいつつ先月は、10日間ほど、涼しい旭川で過ごしました。
実家で飼っている犬の可愛さや、
母親の作るごはんのおいしさや(しかも黙ってても出てくるし)、
涼しい夜風など、感激ポイントが満載。
毎年恒例となりつつあるライジングサン(ロックフェス)も楽しかったし、
心のドアをノックされまくりでした。
やっぱり北海道はいいなーと、
多少のホームシックを引きずりつつ、短歌の話にうつります。

<不自然な語尾を捨てる>
実は語尾に限らない話なのですが、
定型におさめようとするあまりに、
不自然な言い回しになっている短歌を時々見かけます。
本来なら、「昨日は」と書きたいところを、
「昨日はさ」とか「昨日はね」などと書いている、というふうに。
確かに字余り・字足らずはリズムを崩しますし(特に字足らず)、
定型を守ることは大切なことなのですが、
仕上がった短歌が不自然なものになってしまっていては、
あんまり意味がありません。
どうしても「昨日は」(※もちろんこれはあくまでも例ですが)と言いたいときでも、
語尾に「さ」「ね」などと付けるのではなく、
そのフレーズを5文字ではなく7文字の部分で使うようにするとか、
別の言い回しを考えるようにするとか、
そういった解決策を考えてみてください。


<今月の作品>

 ~第8回テーマ「楽器」~
それでは、今回気になった作品を紹介します。
( )内が投稿者のお名前(ペンネーム)です。

ピアノをテーマにした歌が多かったですね。
やっぱりなじみのある楽器なのでしょうか。


「フンフン♪」と私の知らない音楽を紡ぐ鼻をつまんじゃいたい(ひかり)

 可愛らしい一首だと思いました。
 鼻歌にしたのは、
 「口をふさいじゃいたい」よりも「鼻をつまんじゃいたい」という
 フレーズをあえて使おうとしたからかなと思ったのですが、どうでしょうか。
 ただ、4句目の字足らずは欠点になってしまっていると思います。




君が弾くギターの音は音じゃなく小動物の鳴き声みたい(トヨタエリ)

 比喩や内容はおもしろかったのですが、
 気になったのは、「音じゃなく」という部分です。
 細かいことを言うようで申し訳ないのですが、
 「小動物の鳴き声」も「音」に分類することができるのではないでしょうか。
 さらに、直前で、「ギターの音」という言葉を使ってしまっていますので、
 別の言葉にした方がいいように思えます。




安っぽい言葉は君にきかせない かわりに小指で弾き始めます (末松さくや)

 この歌のポイントは、「小指で」というところですよね。
 ギターのアルペジオなんでしょうか。意味深な感じでいいと思います。
 ただ、惜しいのは、後半がとても優れているのに対し、
 前半はありふれたフレーズのようになっているところです。
 前半にも何か、独特の言い方があれば、よりよい歌になりそうです。




十七の冬にピアノを捨てたから音楽はもう親友じゃない (山田フサエ)

 ストーリーを想像させるという点において、
 とても力のある作品だと思いました。
 親友じゃない、という言葉の選び方も見事です。




愛しげにギターに触れてつまびいてあえて私に触れない右手(ゴニオ)

 完成度の高い作品だと思いますし、好きな歌でもあったのですが、
 「あえて」という部分がひっかかってしまいました。
 この言葉がなくても、あえて、というのは伝わって来ると思いますので、
 その分、別の言葉や言い回しを用いることをおすすめします。




さっきからあなたのことを考えているのはピアノの音がしたから(やまよし)

 綺麗にまとまっていますが、
 薄い印象になってしまっているのがちょっと残念です。
 どこか一ヶ所でも、
 特別な感情や言い方が感じられるものがあれば、
 もっとおもしろいものになると思います。




「あのね、ママ。受験失敗したらボク、ロックンロールスターになるよ」 (キタパラアサメ)

 物語の一節のようで、おもしろかったです。
 「」(カギカッコ)の使い方としても、的確だと思います。
 惜しいと思ったのは、今回のテーマとの関連性でしょうか。
 「楽器」というよりもむしろ「音楽」という感じに思えてしまいました。




伴奏の彼女の涙を見たいからいつもふざけた歌の練習(岡本雅哉)

 岡本さんお得意の、男子短歌ですね! 好きな一首です。
 けれど、歌の内容からして、
 「彼女」という言い回しは、ちょっとここだけ硬いように思えてしまいます。
 ここは思い切って「タナカ」とか「イトウ」とか、
 固有名詞にするのもありだったかもしれません。
 その方が男子力(ってなんなのでしょう……)が強まりそうです。



<今月のかとちえ賞>
今回のかとちえ賞は、以下の作品とさせていただきます。

十七の冬にピアノを捨てたから音楽はもう親友じゃない

山田フサエさん、おめでとうございます。
印象的な一首でした。
今後の投稿も、楽しみにお待ちしています。


今月のかとちえ短歌
投稿作では使われていなかった楽器を用いてみました。
ちなみに、クラリネットは実際に吹いていたことがあります。
中学時代、吹奏楽部だったので。(でも幽霊部員でした)

教室でクラリネットを吹いていた頃のあなたが見たい と笑う
(加藤千恵)


<次のテーマ>

新しい募集テーマは、「挨拶」です。
挨拶という言葉そのものだけでなく、
こんにちは、おはよう、などといった日本語の挨拶、
他にも英語やフランス語など外国語での挨拶を用いてくださっても構いません。
おもしろい作品が出てきそうで楽しみです。
以下、募集要項です。

10月10日締め切りで、一人2首以内、テーマ記載の上、
ペンネームがある場合はペンネームも添えて。
→送り先:tanka_57577@3anet.co.jp(第二出版部かとちえ短歌教室係まで。アドレスの「@」を半角に修正してお送りください)

どうぞよろしくお願いします!