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特別連載 日本語教科書活用講座④ / 『みんなの日本語初級』を使った初級日本語の教え方
第2回 練習問題を作ってみよう


講師紹介 木戸恵子 目白大学留学生別科非常勤講師 元(財)海外技術者研修協会(AOTS)



第2回 練習問題を作ってみよう


前回は、『みんなの日本語初級』の構成や基本的な教え方を紹介いたしました。
今回は、『みんなの日本語初級』の練習問題について考え、練習Bの問題を作ってみましょう。

 

1. 練習A、B、Cはどんな問題


『みんなの日本語初級』には練習A、B、Cがあります。
練習Aは、言葉を入れ替える部分がアミかけされており、動詞、形容詞のフォームや文の構造(文型)に注意が向くように視覚的に工夫されています。動詞、形容詞の活用の規則、文型の構造を理解し、基本的な代入練習や変換練習をすることが練習Aの目的です。

 

『みんなの日本語初級Ⅰ 本冊』第19課より



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練習Bは、文型毎に単文、複文、質問文及び回答文などを作成する練習です。
イラストが数多く使われています。

 

『みんなの日本語初級Ⅰ 本冊』第19課より



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練習Cは、文型の機能に焦点をあてた短い会話文の練習です。
会話の中で、文型がどのように使われているかを学習し、運用力を高めることがこの練習の狙いです。

 

『みんなの日本語初級Ⅰ 本冊』第19課より



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2. 学習者のタイプと練習問題


教室内には様々なタイプの学習者がいます。上達が速い人、なかなか言葉が覚えられずに苦労している人、なんとなく自分が言いたいことは言えるけれど文法や言葉の使い方が正確ではない人、話すのが苦手な人など、など。マンツーマン以外の日本語クラスでは一人ひとりの学習者に合わせて授業を進めることは難しいですが、クラスの状況に応じて練習問題の数や種類を増やし、バリエーションをつける必要があります。
以下、学習者の状況に合わせた練習と問題形式をいくつかご紹介します。

 

 

3. 文型練習で使う言葉と動詞・形容詞フォームの確認


練習A、B、Cでは、その課の新出単語だけではなく、既に学習した課の言葉が使われています。学習者が言葉を覚えていなければ、せっかく文型の練習をしても、文の意味が理解できず、すぐ忘れてしまいます。
そこで、そのような学習者が多い場合は、その文型の練習で使用する言葉を予め選んでおいて、文型の導入前後に復習します。下記に第19課文型1(「(た形)ことがあります」)の練習で使えそうな動詞を選んでみました。



また、動詞のて形や可能形などはいくつかの課の複数の文型で使われています。動詞や形容詞のフォームはしばらく使っていないと忘れてしまっていることがあるので、言葉と同じように文型練習に入る前に復習をしておいた方がいい場合があります。

 

 

4. 問題文の追加


練習Bではひとつの練習につき例を含めて5つ、練習Cは『みんなの日本語初級Ⅰ本冊』に例を含めて4つ、『同Ⅱ本冊』には例を含め3つの問題が提示されています。文型を定着させるにはもう少し問題がほしいところです。私の場合、本冊の問題を含め、練習Bの場合は各練習10~15問、練習Cの場合は5~7問ほど問題を用意しています。
前述でご紹介した動詞をもう一度見てください。いろいろな問題が考えられそうですね。



 

 

5. 練習問題の形式の追加


練習Bは単文、複文、質問文、回答文などを作る問題ですが、全ての問題において、変換する部分(練習する部分)のキュー(指示)がイラストや単語・文で提示されており、学習者の意識が変換部分に集中できるようになっています。しかし、文型が定着した後は、学習者自身が積極的に文や文脈の意味を考える形式の練習問題を用意する必要が出てきます。例えば、次のような問題形式が考えられます。

1)キューを提示しない問題形式



 

2)文や会話の一部分をブランクにし、その部分を考える問題形式



 

3)状況説明の文を読み、学習項目である文型を使って文を作る問題形式



 

 

6. 練習問題を考える時の留意点


練習問題を作るとき、次の点に気をつけています。

1)既に学習した言葉や文型を積極的に使用する。
2)できるだけ学習者の身近な内容の問題文を作る。
教室内で話題になっていることを題材に問題文を作成する場合は、教科書の言葉だけではなく学習者が
習得している日常生活の言葉も用いる。
3)『みんなの日本語初級Ⅰ』の後半以降の課では、複数の文型を組み合わせてみる。
(例 前述問題例1-10)~へ~に来た(13課)+たことがある(19課)、
問題例4 ~ないで(34課)+~たり、たりし(17課)+ようと思っている(31課))

 

 

7. 教室内における指示の出し方


授業中に教科書を開くと、学生は目で文字を追うことに集中しがちで、下手をすると教科書を丸読みしかねません。そこで、授業中はなるべく教科書を開かずに、口頭(音声)やイラストなどで指示を出しています。教室にパソコンとプロジェクターがある場合はプレゼンテーション作成ソフトを用いて、アニメーション機能で動きを加えて効果的な問題・答えの提示ができるでしょう。

 


 


第3回 周辺教材のご紹介と効果的な使い方