初級日本語学習者のための 待遇コミュニケーション教育 ―スピーチスタイルに関する「気づき」を中心に―

「待遇コミュニケーション教育」を初級から実現するため、その理論と方法論の構築を目的に行った研究をまとめたものです。
 筆者が重視する「気づき」という概念をテーマに行った実践研究を基に、教育における具体的な提言を行っています。初級学習者にとって日本語の「待遇」を学ぶということがどのようなことであるのか、また、その教育はどうあるべきかについての理論と方法を知るために有用な一冊です。

目次

まえがき

第1章 序論
1.1 研究の目的
1.2 研究の意義
1.3 研究の枠組み
 1.3.1 「<言語=行為>観」に基づいたコミュニケーション教育
 1.3.2 「コミュニケーション主体」の重要性
 1.3.3 「場面」の重要性
 1.3.4 「意識」の重要性
 1.3.5 「内容」の重要性
 1.3.6 「形式」の重要性
 1.3.7 五つの連動の重要性

第2章 研究の理論的背景
2.1 「待遇コミュニケーション能力」とは何か
 2.1.1 「待遇コミュニケーション能力」の認知的メカニズム
 2.1.2 「待遇コミュニケーション」と「熟達」
 2.1.3 「熟達者」の特徴
 2.1.4 「待遇コミュニケーション能力」のまとめ
2.2 「待遇コミュニケーション能力」促進のための教育とは
 2.2.1 第二言語習得研究における「意識」
 2.2.2 語用論的知識の習得研究における「意識」
2.3「待遇コミュニケーション能力」と「気づき」
 2.3.1 明示的学習と暗示的学習の融合
 2.3.2 「気づき」重視の教育
2.4 研究の概要と研究課題
 2.4.1 「気づき」を促す活動Ⅰ:「観察タスク」
 2.4.2 「気づき」を促す活動Ⅱ:「コンテキスト化練習」
 2.4.3 研究課題

第3章 研究の焦点
3.1 日本語のスピーチスタイル
 3.1.1 使い分けの必然性
 3.1.2 敬語の基調としてのスピーチスタイル
 3.1.3 スピーチスタイルの動態性
 3.1.4 スピーチスタイルと主体性
 3.1.5 まとめ
3.2 問題提起
 3.2.1 スピーチスタイルに対する認識の欠如
 3.2.2 待遇表現教育としての認識不足
 3.2.3 対人関係構築に関わる問題
 3.2.4 自立学習妨げの要因としての問題
3.3 スピーチスタイルの教育における「気づき」の重要性

第4章 実践の背景
4.1 実践の枠組み
 4.1.1 シンガポールの日本語教育事情
 4.1.2 実践の現場
 4.1.3 現状と課題
4.2 実践実現までの経緯と概要
 4.2.1 研究Ⅰ実現までの経緯と概要
 4.2.2 研究Ⅱ実現までの経緯と計画
4.3 スピーチスタイルの知識に関する実態
 4.3.1 調査目的
 4.3.2 調査対象者
 4.3.3 調査方法
 4.3.4 調査結果
 4.3.5 実態調査のまとめと考察

第5章 研究Ⅰ:「観察タスク」による「気づき」
5.1 実践1:映像メディアを活用した授業による「気づき」
 5.1.1 実践の目的
 5.1.2 実践の対象者
 5.1.3 実践の概要
 5.1.4 調査方法
 5.1.5 調査結果
 5.1.6 実践1のまとめ
 5.1.7 実践1を踏まえての待遇コミュニケーション教育への提言
5.2 実践2:日本人小学生との接触場面における「気づき」
 5.2.1 実践の目的
 5.2.2 実践の対象者
 5.2.3 実践の概要
 5.2.4 調査方法
 5.2.5 データの収集方法
 5.2.6 分析方法
 5.2.7 結果と考察
 5.2.8 実践2のまとめ
5.3 実践3:日本人高校生との接触場面における「気づき」
 5.3.1 実践の目的
 5.3.2 実践の対象者
 5.3.3 実践の概要
 5.3.4 調査方法
 5.3.5 結果と考察
 5.3.6 「気づき」の変容
 5.3.7 初級学習者のスピーチスタイルに関する「理解」
5.4 実践の振り返り
 5.4.1 調査目的
 5.4.2 調査方法
 5.4.3 調査結果
5.5 研究Ⅰのまとめと考察
 5.5.1 初級学習者のスピーチスタイルに関する「気づき」
 5.5.2 「観察タスク」の意義と留意点
 5.5.3 結果の一般化に関する考察
 5.5.4 コミュニケーションを困難にする要因
 5.5.5 「待遇コミュニケーション教育」への提言

第6章 研究Ⅱ:「気づき」を促す「教授ストラテジー」
6.1 会話練習の意義再考
6.2 基底となる会話教育理論
 6.2.1 理解先行型教育
 6.2.2 談話単位の学習
 6.2.3 下位技能の習熟
 6.2.4 「能動的モニタリング」をともなった学習
 6.2.5 「コンテキスト」重視の「会話練習」
6.3 「コンテキスト化練習」における「教授ストラテジー」
 6.3.1 研究の概要
 6.3.2 調査の目的
 6.3.3 分析方法
 6.3.4 調査結果
 6.3.5 「教授ストラテジー」のまとめと考察
 6.3.6 「待遇コミュニケーション」に有効な「教授ストラテジー」
6.4 「パフォーマティブ・エクササイズ」の理論と方法
 6.4.1 「パフォーマティブ・エクササイズ」
 6.4.2 「パフォーマティブ・エクササイズ」の基本構造
 6.4.3 「パフォーマティブ・エクササイズ」の授業例
6.5 研究Ⅱのまとめと考察
 6.5.1 発話の産出と理解のプロセスを認識した「会話練習」
 6.5.2 暗記を活かした「会話練習」

第7章 結論
7.1 結果のまとめ
7.2 再考察
 7.2.1 学習者が得られにくい「気づき」とは
 7.2.2 スピーチスタイルの習得過程再考
7.3 「待遇コミュニケーション能力」への提言
 7.3.1 「理解先行型教育」の基底となる理念
 7.3.2 「理解先行型教育」の方法
 7.3.3 三つの学習活動の「循環」
 7.3.4 スピーチスタイルを中心とした「待遇コミュニケーション教育」
7.4 今後の課題

資料
参考文献
索引
謝辞

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  • 著者:
    ウォーカー泉
  • 価格: 3,300円(税込)

    電子書籍: 価格は各電子書店にてご確認下さい。

  • 判型: A5
  • 頁数: 350頁
  • ISBN: 9784883195503

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