改訂版 日本語教師のための新しい言語習得概論

2004年発行『日本語教師のための新しい言語習得概論』の改訂版です。
言語教育において言語習得研究は関心が高く、海外でも盛んに研究されている分野です。
本書では日本語教師に向けて、特に「教室習得」の分野を紹介することを目的としています。

第1部では第一言語習得研究について、メインとなる第2部では第二言語習得研究について、1970年前後の研究のスタートから現在に至るまでの研究成果を踏まえ、様々な「理論」や「アプローチ」を紹介しています。

改訂にあたって、「社会文化理論」「インターアクション研究の新たな展開」「多言語・多文化共生」「複言語・複文化主義」など、最新の知見を取り入れています。

現場で日本語を教えている方、日本語教師を目指す方にぜひ読んでいただきたい一冊です。

目次

第1部 第一言語習得(FLA)の研究

 イントロダクション
 第1章 初期のことばの発達
  1.1 ことば以前
  1.2 音声の発達
      1.2.1 音の準備段階
      1.2.2 個々の音の発達過程
      1.2.3 音から単語へ
  1.3 語彙の習得
      1.3.1 初めてのことば
      1.3.2 ことばの意味の推測
  1.4 統語の発達
      1.4.1 一語文
      1.4.2 二語文
      1.4.3 三語文/多語文
  1.5 子どものことばの誤り

 第2章 ことばによる社会化
  2.1 伝達能力の習得
  2.2 大人からの語りかけ
      2.2.1 インプット言語の特徴
      2.2.2 インプットとしての日本語
  2.3 日本語のコミュニケーション・スタイルの習得
      2.3.1 間接的なコミュニケーション・スタイル
      2.3.2 男女差の習得
      2.3.3 丁寧さの習得

 第3章 脳の発達とFLA
  3.1 言語運用における脳のしくみ
      3.1.1 脳の発達
      3.1.2 言語構造と脳
      3.1.3 言語処理と脳
      3.1.4 言語野と失語症
  3.2 FLAにおける臨界期
      3.2.1 臨界期仮説
      3.2.2 臨界期が存在する理由
  3.3 ことばの発達の遅れ

 第4章 FLA研究のアプローチ
  4.1 Nature vs. Nurture
  4.2 行動主義
  4.3 生得主義
  4.4 相互交流論
      4.4.1 認知的アプローチ
      4.4.2 社会的相互交流論
  4.5 FLAの新たな論争

 コラム 言語習得と外国語教授法(1)
     ~FLAに影響を受けた教授法~

第2部 第二言語習得(SLA)の研究

イントロダクション

Ⅰ SLAの理論の変遷
 第1 章 SLA研究の始まり
  1.1 行動主義心理学と言語学習
  1.2 SLA研究の初期段階
      1.2.1 誤用分析
      1.2.2 『中間言語』の概念

 コラム 言語習得と外国語教授法(2)
     ~行動主義とオーディオリンガル・メソッド~

 第2章 SLA研究のアプローチ
  2.1 生得的アプローチ
      2.1.1 Chomskyの普遍文法(UG)
      2.1.2 Krashenのモニター理論
  2.2 インターアクション重視の立場
      2.2.1 相互交流的アプローチ
      2.2.2 社会文化理論
  2.3 認知的アプローチ
      2.3.1 情報処理モデル
      2.3.2 スキル習得論
  2.4 新しい認知的アプローチ
      2.4.1 コネクショニスト・モデル
      2.4.2 競合モデル
      2.4.3 用法基盤的アプローチ

 コラム 言語習得と外国語教授法(3)
     ~モニター理論とナチュラル・アプローチ~

Ⅱ 第二言語の発達過程
 第3章 学習者言語の特徴
  3.1 学習者言語の発達過程に見られる現象
  3.2 文法の発達段階
      3.2.1 統語の発達段階
      3.2.2 統語・形態素の統合発達モデル
  3.3 日本語の発達過程

 第4章 SLAにおける第一言語(L1)の影響
  4.1 L1の影響に関する見解の移り変わり
  4.2 言語転移の可能性
      4.2.1 インプット処理のストラテジー
      4.2.2 普遍文法(UG)のパラメータの再設定
      4.2.3 言語の類型的普遍性から来る難しさ
      4.2.4 普遍の発達段階におけるL1の影響
      4.2.5 語用的転移

Ⅲ 教室におけるSLA
 第5章 SLA から見た教室環境
  5.1 自然習得 vs. 教室習得
  5.2 教室におけるインターアクション
      5.2.1 インターアクションの役割
      5.2.2 教室談話の特徴
      5.2.3 グループワークの意義
      5.2.4 『インターアクション仮説』の証明
      5.2.5 アウトプット仮説
  5.3 インターアクション研究の新たな展開

 コラム 言語習得と外国語教授法(4)
     ~コミュニカティブ・アプローチ~

 第6章 教室指導のSLA へのインパクト
  6.1 教室指導の効果に関する研究の始まり
  6.2 教室指導の効果
      6.2.1 習得過程へのインパクト
      6.2.2 L2の最終到達度へのインパクト
  6.3 教室指導のタイプによる違い
      6.3.1 Focus on Formの概念
      6.3.2 Focus on Formのテクニック
  6.4 日本語習得におけるFocus on Form
      6.4.1 Focus on Formの対象となる言語形式
      6.4.2 日本語の実験研究
  6.5 教室習得研究の今後

 コラム 言語習得と外国語教授法(5)
     ~伝達能力とは何か~

 第7章 言語習得のメカニズム
  7.1 SLAにおける意識、注意、記憶
      7.1.1 「意識」に関わる論争
      7.1.2 注意と記憶の役割
  7.2 言語の認知的処理
      7.2.1 言語学習のプロセス
      7.2.2 言語処理のメカニズム
  7.3 明示的学習 vs. 暗示的学習
      7.3.1 暗示的学習と手続き的知識
      7.3.2 言語学習における宣言的知識の役割

 コラム 言語習得と外国語教授法(6)
     ~ Focus on Formとタスク・ベースの教授法~

Ⅳ SLAに影響を及ぼす環境と学習者要因
 第8章 言語学習の開始年齢
  8.1 年齢とSLA
      8.1.1 臨界期仮説
      8.1.2 年齢による違いが起きる要因
      8.1.3 臨界期に関する新たな見解
  8.2 年齢とバイリンガリズム
      8.2.1 バイリンガルの定義
      8.2.2 ことばの維持の難しさ
      8.2.3 バイリンガルの言語と認知

 コラム 言語習得と外国語教授法(7)
     ~日本語の年少者教育/バイリンガル教育~

 第9章 学習者の認知的要因とSLA
  9.1 SLA における個人差
  9.2 知性
  9.3 言語適性
      9.3.1 初期の言語適性テストの開発
      9.3.2 新時代の言語適性研究
      9.3.3 さらなる展開
  9.4 認知スタイル
  9.5 学習ストラテジー
  9.6 ビリーフ
  9.7 脳から見た男女差

 第10章 学習者の情意的要因とSLA
  10.1 動機づけ
      10. 1.1 統合的動機づけ vs. 道具的動機づけ
      10. 1.2 内発的動機づけ vs. 外発的動機づけ
      10. 1.3 タスクによる動機づけ
      10. 1.4 動機づけを高める教師のストラテジー
      10. 1.5 L2動機づけの自己システム
  10.2 性格要因
      10. 2.1 自信と抑制
      10. 2.2 不安とリスク・テイキング
      10. 2.3 外向性と内向性

 第11章 社会文化的要因とSLA
  11.1 ピジン化仮説
  11.2 文化変容モデル
  11.3 言語習得と異文化適応
  11.4 多言語・多文化共生の時代へ
  11.5 複言語・複文化主義

Ⅴ SLA研究の意義
 第12章 言語教育の基礎研究としてのSLA
  12.1 SLA とはどんな学問か
  12.2 脳科学から言語教育へ
      12.2.1 脳科学と教育
      12.2.2 教室習得研究の位置づけ
  12.3 SLA研究と日本語教育
      12.3.1 SLA研究の役割
      12.3.2 SLA研究と言語教育の現場
      12.3.3 SLA研究から教授法へ

引用文献

英日用語対照リスト

索引

改訂版  日本語教師のための新しい言語習得概論

改訂版 日本語教師のための新しい言語習得概論

  • 著者:
    小柳かおる
  • 価格: 1,760円(税込)

  • 判型: A5
  • 頁数: 331頁
  • ISBN: 9784883198832

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